目次
コロナ禍により、防災対策も大きく変化しています。
なかでも避難所における三密回避・ソーシャルディズタンスの確保は大きな課題です。
これに伴い、災害時におけるペット対策も大きく変わろうとしています。
自然災害はコロナ禍だからと待ってはくれません。
大切なペットを守るにはどんな準備が必要か、ペット災害危機管理士が解説します。
環境庁の推奨する同行避難とは?
環境庁では、災害時にペットと一緒に避難する「同行避難」を推奨しています。
ただしこれは「自宅から避難する際はペットを家に置いて行かず、一緒に連れて避難する」という意味。
避難先(避難所)でペットと一緒に過ごすことを保証する「同伴避難」のことではないので気をつけましょう。
実際にはペットの受け入れを行っていない避難所も多く、被災地では「一緒に避難できる」と思い込んでいた飼い主さんとトラブルになる例が後をたちません。
ペットとの避難に重要なのは分散避難の準備
環境庁ではコロナ禍において避難所に人が集中するのを避けるため、分散避難を求めています。
分散避難とは、避難所以外の避難先を確保して地域の人たちが分散して避難できるようにすることです。
主な避難先は
- 在宅避難
- 車中避難
- 親戚や知人の家
- ホテル
などがあげられます。
ペット受け入れ不可の避難所も数多くあるため、事前に分散避難の準備をしておくと安心です。
複数の避難先と避難方法を用意しておく
想定していた避難先に必ず避難できるとは限りません。
- 自宅避難→自宅が被災し留まるのが困難な状況になる
- 車中避難→道路の陥没や水害・緊急車両優先のための通行止めで車で移動できない
- ペット受入可の避難所→満員で断られることがある
- 親戚・知人の家→避難先の家が被災してしまう
- ホテル→ホテルが被災してしまう・満員になる
このように、避難先にしようと思っていた場所が使えないことも十分にあり得ます。
また、飼い主だけ・ペットだけの受け入れになる可能性もあります。
避難先がバラバラになる可能性もふくめ、複数用意しておきましょう
避難所のルールを理解する
ペットの受け入れをしている避難所でも、アレルギーの人への配慮で基本的にペットと人のエリアを分けている自治体が多くあります。
想定されているペットの受け入れエリアの例(京都市の場合)
- 駐輪場
- 建物の軒下
- 倉庫
- 更衣室
- 野外テント
- 遊具にブルーシートなどをかぶせてエリアをつくる
このように、ペットとエリアをわける場合は基本的に屋外で設定している自治体が多いです。
室内飼いの犬や猫にとって、他のペットと共に飼い主のいない屋外での暮らしはストレスが大きいと予想されます。
猛暑や寒波・雨や雪などの天候変化は、ペットの健康を損ねたり、最悪の場合には命を落とす危険もあるでしょう。
ペットと飼い主が同じエリアで過ごせる「同伴避難」の避難所を用意している自治体もありますが、まだ数が少ないのが現状です。
また、これまでの災害時には、ペット受入をしている避難所が満員で「避難してきたのに断れた」こともありました。
必ず複数の避難先を想定しておくようにしましょう。
多くの自治体では、災害時におけるペットの対応をHPに記載しています。
事前にチェックし、もしもペットにとって避難生活が難しいと感じるようなら、分散避難先をみつけておく必要があります。
ペットのケージやキャリーケースを用意しておく
ケージやキャリーケースを用意している自治体もありますが、これはあくまでも飼い主とはぐれてしまったペット用です。
数も少なく、飼い主のいるペットが使う分はないと考えましょう。
また、突然の災害で過大なストレスがかかるなか、不慣れなケージ生活はペットにとって負担が大きくなります。
ケージやキャリーケースに入るのをイヤがらないように、普段から練習しておきましょう。
また、使用時には扉が開かないよう固定するため、ガムテープなどを用意しておきましょう。
ハーネスに慣れておこう
慣れない避難生活で逃げ出してしまわないように、犬も猫も常にハーネスを装着しておくと安心です。
とくに猫は生活環境の変化に弱く、食事をしなくなり数日で一気に痩せてしまうという事例が多くあります。
サイズ調整のできるものを用意してあげましょう。
iCat 猫用コンフォートハーネス
体をしっかりと包み込む猫の骨格と動作を考えてつくられた猫用ハーネス。
マジックテープでサイズの調整ができるので、災害時にも安心です。
iDog 犬用コンフォートハーネス
車中避難の注意点
ペットと暮らす飼い主さんのなかには、最初から車中避難を選択している人も多くいるでしょう。
車に避難グッズを積んでおくことで、素早く避難できます。
ドライブなどで車に慣れさせておけば、避難生活におけるペットの負担も軽減されるでしょう。
ただし避難経路の道路状況によっては、車で移動するのが難しい場合や危険を伴うこともあります。
状況をみて、冷静な判断が必要です。
適度な運動と水分補給を
また、車中避難でもっとも注意したいのは飼い主のエコノミー症候群です。
同じ姿勢で長くいるのを避け、できるだけ車外にでて体を動かすようにしましょう。
被災時は、トイレに行くのを控えようとして水を飲むのを我慢する人もいますが危険です。
血液が濃縮して血栓ができやすくなります。
しっかりと水分補給をするようにしましょう。
飼い主さんが倒れてしまうのが、ペットにとっては一番大変なことです。
まずは、自身の健康管理をしっかりとするようにしてください。
水分が必要なのはペットも同じ。
1日に必要な水分量は、犬は体重1kg当たり50~60ml・猫はその半分と言われています。
被災時はペットにとってもストレスフルな環境です。気をつけて水分補給させるようにしましょう。
災害時には、支援物資が届くまでの間、水が不足する可能性もあります。
水分の多いウェットフードやゼリー状のおやつなども用意しておくと水分補給できます。
IDOG&ICAT 折り畳みシリコンフードボウル
持ち運びに便利な折り畳み式のペット用フードボウルです。
カラビナでバッグに付けるられるので防災バッグにつけておくことができます。
■関連記事■
犬が水を飲まないのはなぜ?健康に必要な水分量と無理ない飲ませ方
SNSを活用する
災害時には避難所が満員で断られたり、屋外での避難が難しいペットなどが、行き場を失ってしまうことがあります。
そんな時、動物病院やペットホテル・ペット関連施設などで受け入れを表明してくれる場合があります。
ハッシュタグを使って発信されることが多いので、SNSを活用して情報を集めましょう。
「♯同伴避難」などで拡散されることが多いです。
ペットのための防災準備
ペット専用防災バッグを準備しておきましょう
- フード・飲料水
- 薬・診断書
- トイレシーツ(犬)トイレ砂(猫)消臭袋
- 予備のリード・ハーネス・首輪(サイズの調整ができるもの)
- 大きめのバスタオルなど
- ペット情報の用意(迷子になった時のため・写真つきで用意)
マイクロチップと迷子札の装着・各種ワクチンの接種も忘れずに。
避難所では犬や猫の他、さまざまな動物と同じ空間で過ごすことになると考えてください。
ワクチンを打つことは、自分のペットだけでなくすべての動物や飼い主を守ることにもつながります。
ノミ・ダニ対策も忘れないようにしましょう。
また、災害時にパニックを起こして迷子になってしまう子もいます。
飼い主さんとペットが離れ離れになってしまった時のために、マイクロチップを入れておくことが大切です。
ただし災害後の混乱した状況では、マイクロチップを確認する環境を整えるまでに時間がかかります。
そんな時に活躍するのが迷子札。
保護した人が直接飼い主さんと連絡がとれるので、ペットとの再会が早まるかもしれません。
IDOG&ICATオリジナル ネームタグ角丸 迷子札 CALLME
災害時は食べ慣れたフードやペット用の水の用意も忘れずに!
ペット用の配給は人間のものより遅くなる傾向があります。
最低でも3日分、できたら1週間程度を用意しておくようにすると安心です。
療養食や薬の服用があるペットは、手に入るまでにかなり時間がかかる可能性が大きいです。
多めに準備しておくようにしましょう。
被災時には「フードを用意していたのにトレイがない」と慌てる飼い主さんもいます。
コンパクトに折り畳めるタイプのものを、防災バッグにいれておくと安心ですね。
【 犬 猫 フードボウル 】iDog 布製ポータブルトレイ
折り畳みできて持ち運びに便利な布製ポータブルトレイ。
外側は耐久性の高いリップストップ素材・ 内側は耐久性・防水性に優れたターポリン素材を使用しているので、水を入れても漏れることはありません。
環境庁の資料をチェックしておこう
環境庁では、ペットと暮らす飼い主のためのパンフレットがダウンロードできます。
事前の準備や、災害が起きた時の対処法、備蓄しておくものなど、ペットの防災に関する正しい情報を得ることができます。
■ダウンロードはこちらから■
「備えよう!いつもいっしょにいたいから」
ペットの命を守れるのは飼い主さんだけ
ある損害保険会社のアンケートによると、自宅の最寄りの避難所がペットと一緒に避難できるのか、70%以上の飼い主さんが「知らない」と答えています。
また「知っている」と答えた人でも、建物に一緒に入れるかどうかなどの受け入れ態勢までは理解していない人が20%いました。
- ペットの受け入れをしているか
- 同伴避難が可能か(飼い主と一緒にいられるか)
- 多頭飼の受け入れをしているか
などを確認しておきましょう。
事前の準備でペットの命はもちろん、心と身体の健康を守ることができます。
大切な家族であるペットを守れるのは飼い主さんだけ。
しっかりと準備しておきましょう!
関連記事:愛犬の安全と安心を守る防災準備とは?ペット災害危機管理士が解説
参照
環境庁「ペットの災害対策」
環境庁「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」
京都市「みんなで考えよう!ペットの避難」
「ペットのための防災対策に関する調査」
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